ステロイド鼓室内注入療法
突発性難聴などの耳の病気の治療法の一つです。突発性難聴では、ステロイドの全身投与(内服や点滴)がまず行われることが多いですが、持病のある方(高血圧、糖尿病、胃潰瘍、肝炎など)では全身投与が難しい場合があります。ステロイド鼓室内注入療法では、まず鼓膜切開術を行ったあと、鼓膜の奥にある中耳(鼓室内)にステロイド液を直接注入することで、薬が内耳の神経に直接届くようにします。この方法では、全身の病気への負担がほとんどないため、上記のような疾患の方にも治療を行うことができます。また、通常の治療で症状がなかなかよくならない方への追加的な治療として本治療を選択することもあります。ステロイド注入後は、しばらく横になって安静にします。1回20~30分程度の治療になります。鼓膜切開術と同様に、シャワーは当日から可能で、入浴も翌日から可能ですが、耳に水が入るようなことは1週間は避けていただきます。鼓膜は再生力の強い組織なので、あけた穴はほとんどの場合3日~7日間で自然にふさがります、ごくまれに、もともとの病状や体質、あるいはステロイドの作用によって、ふさがりにくい場合があります。そのような場合でも、処置を行うことで通常ふさがります。比較的安全で効果の高い治療法ですが、すべての患者さんに適しているわけではありませんので、治療を受ける前に、医師にご相談ください。